自分らしさや自分らしい生き方に憧れる人は多いですよね。
けれども、本当に自分らしく生きている人は、「自分らしくあろう」とか、「自分らしく生きよう」などと考えていません。
なぜなら、自分は自分だから。考える必要なんてないはず。
考えないとできない自分らしさなんて、そもそもヘンです。
でも、ヘンなことになってしまったのにも、それなりに理由があるんです。
誰でも赤ん坊の時は、自分らしくしようなんて考えていなかったはず。
この記事では、自分らしさがわからなくなる2つの原因と、自分らしさを取り戻す方法について解説します。
そして、どうやったら、意識しないで自然に、自分らしく生きている状態になれるのかを説明します。
1.自分らしさがわからない原因
(1)自分を抑え込んでしまう
自分らしさがわからなく原因を一言で言うと、自分を押さえ込んでしまったから。
その原点は、多くの人の場合、親子関係にあります。
教育やしつけと称するものですが、親の決まり文句は子供のためを思って、です。
しかし、実際には、親が自分のニーズのために子供を利用していることが少なくありません。
つまり、自分の存在価値だったり重要感だったりを感じたいから。
ひどくなると子供に依存して頼ろうとする親までいます。
共通点は、親が自分の心の欠落を埋めるために子供を道具にする点です。
具体的にいうと、親の価値観の押し付けです。
こうあるべき、これはいけない、こうであらねばならない。
すると、子供は自分の感じていることを押さえ込むようになります。
怒ってはいけない、悲しんではいけない、嫌と思ってはいけない、など。
自然に出てくる感情や思いをなかったことにしてしまうのです。
また、自分のスタイルを変えることを余儀なくされることも。
子供が机に向かわずリラックスして勉強した方が頭に入るタイプだったとしても、勉強する時は行儀よく机に向かいなさい、などと言って。
そんな理不尽な親の横暴に子供がしたがってしまうのは、子供は親に愛されなければ生きていけないから。
そして、子供は親のことが大好きだからです。
当面の生存戦略としては有効ですが、多くの場合、成長するにつれてさらに拡大強化されます。
学校に行くようになり社会と関わるうちに、先生や友達との間で、同じようなパターンが繰り返され強化されます。
権威者にしたがうことや、その逆に反抗することですが、いずれも素の自分を歪めることにつながります。
そうやって、もともと自分が何を好きで嫌いなのか、自分はどうしたいのか、本当の気持ちはどうなのかといった、自然のままの自分から遠ざかってしまうのです。
(2)自分らしさの両面性
自分らしさというのは、何らかの特性、性質のことです。
たとえば、調和的、慈愛に満ちている、楽しい、落ち着いている、活発である、などなど。
そして、どんな性質にもプラスとマイナスの両面があります。
活発であるという性質は、一面では行動が素早いなど長所として捉えられますが、一方で適切に扱わないと落ち着きのなさという欠点として現れてしまいます。
子供の頃というのは、当然ながら人として未熟なので、自分でマイナス面をうまくカバーできません。
そうすると、親はそのマイナスの性質を指摘し、取り除こうとします。
またしても、その子のため、教育やしつけという名目で。
すると子供は、落ち着きがないのはダメなんだということで、本来の特性である「活発さ」まで否定してしまうのです。
そうなると、その性質の良い面をうまく発揮することがむずかしくなりますし、自分がどんな人間かよくわからなくなってしまいます。
しかも、本質を否定されてしまっては、自分を肯定的に捉えたり、価値ある存在と認めることもむずかしくなります。
本来、親はどうするのが正解だったのでしょう。
あなたのその性質は、こういう時には役に立つけれど、こういう時にはうまくいかなくなるので気をつけようね、と伝えるのが本来の教育です。
しかし、そんなふうに振る舞える親は残念ながら少数派です。親自身も、自分の親から否定されて育ったからです。子供の自分らしさを否定する、悲しき世代間連鎖です。
ぜひあなたの代で断ち切って欲しいと思います。
2.自分らしさを取り戻すために必要なこと
(1)親の支配から自由になる
もう自分は大人だし、いまさら親なんてと思うかもしれません。
しかし、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものです。
傷ついた幼い心、それによる行動パターンは勝手に癒えたり修正されることはないのです。
だから、今でも親との関係に悩んでいる人はもちろん、そうでない人も親との関係で傷ついた幼い日の自分をケアすることが大切なのです。
たとえば、よくある人間関係の問題の根本原因ってなんだと思いますか。
それは、突き詰めると、エネルギーの奪い合いです。
人からの関心や賞賛が欲しい、努力を認めてして欲しい、ないがしろにしないで欲しい、集団の中で居場所が欲しい、もっと私を見て、大事にして、というような思いからくるものです。
これらを承認欲求と言います。お金を際限なく求めたりするのも、そうした表れの一つです。
その大元には、「(そのままでは)自分は愛されない」、という基礎信念があります。
だから、外側に何らかの価値付けを求めるわけです。
不足感、足りないという思いがベースにあるので、限りあるものを求めて争う構図となります。
家庭内の不和から、富の偏在による格差問題、国同士の争いまで、全て傷ついた「三つ子の魂」がなせるわざとさえ言えます。
このようにほぼすべての人が影響を受けているようなものであり、根本解決はなかなか困難ですが、自分らしく生きる上でまずは親の支配から自由になろうとすることが大切です。
その方法については、3.自分らしく生きる方法で後述します。
(2)自分らしさのマイナスを受け入れる
自分らしさがわからなくなる原因の一つに、ある性質が持つプラスとマイナスの両面性がありました。
同様に「自分らしく生きる」ことも、実はプラスの面だけではありません。
意外かもしれませんが。
「自分らしさ」に憧れ、手放しで称賛する人の多くは、マイナス面に気づいていません。
けれど、潜在的には認識しているのでマイナスを避けようとします。
それが変化に抵抗し、現状を維持する力として働くのです。
では、「自分らしく生きる」と、どんな不都合があるでしょうか。
思いつくまま書き出してみるといいでしょう。浮かばない人のために、少しヒントを差し上げます。
- たとえば、自分らしくあると、人とぶつかるかもしれません。
- 協調性がない、自分勝手と非難されるかも。
- 目立たず、波風を立てず、とはいきません。
- もしかしたら、いろんなことにごまかしが効かなくなるかもしれません。
- 自分のいやな面(特性のマイナス面)にも直面する必要があります。
「自分らしさ」への憧れが消えて、どっちでもいいかなと思えてきたらまずは十分、うまくいっていますよ。
3.自分らしさを生きる方法
上で述べたように、子供時代に自分の性質の長所を生かし短所を出さないというように、親などが正しく導いてくれることが理想です。
すると、成長とともに自分(の性質)の取り扱いに習熟することで、自分らしさなんか意識しなくても、自然と上手に自分らしく生きられるようになります。
けれど、そんなふうに育てられなかった場合、自分で修正して、もう一度育ち直す必要があるのです。
その大前提が、2で述べたことです。
そして、次にやるべきことをお伝えします。
(1)主体的に自分らしい人生を生きると覚悟する
自分らしく生きることにも、メリットとデメリットがあります。
デメリットを見ていくと、必ずしも自分らしく生きなくてもいいかと思うようになったかもしれません。
しかし、それでもなお、人は自分らしく生きるべきだと私は思います。
なぜなら、本来の自分を見失った状態で生きることは、他人の人生を生きているようなものだからです。
いくら表面的に成功しているように見えても、他人から賞賛されても、そのような人生に果たしてどれだけ価値があるでしょう。
それがわかったら、マイナス面も知った上で、主体的に自分らしく生きることを決める必要があります。
それは覚悟といってもいいでしょう。
ただ甘いだけの道でも、楽な道でもないでしょう。
時には、今の仕事を辞める、人間関係から離れるといった、つらい決断になるかもしれません。
でも、自分は自分でしかありません。
自分自身に問いかけて、勢いにまかせるのではなく、静かな本心から心を決めることが大切です。
(2)あり方を行動に移す
たとえ困難があっても「自分らしくいる」というあり方が決まったら、あとは行動あるのみです。
そのコツをいくつかお伝えします。
言い方を変えれば、親から自由になることの実践です。
親(他人)と自分は違うと知る
たいていの場合、親はよかれと思って知らず知らず子供から自分らしさを奪っています。
なので、親を恨む必要はありません。
自分にできることをやってくれた親に感謝しつつ、もう自分は大人だから、自分で自分の道を決めて生きていくとイメージの中で宣言しましょう。
また、親と異なる道を選んで罪悪感に苛まれる必要もありません。
自分は親とは独立した、一人の価値ある人間なのですから。
それができれば、人の目を過剰に気にしたり、また、自分とは価値観が異なる人を嫌悪したりすることも減っていくでしょう。
自分の感覚に注意を払う
成長過程で抑圧してしまった感覚を取り戻しましょう。自分の感覚や感情に注意を向けます。
この感覚や感情に理由はありません。
理由がないから、正しいも間違いもありません。
「自分はこう感じる。以上」なのです。
自分が自由に感じることを許容し、今この瞬間、自分は何を感じているんだろうかと意識してみてください。
最初は感じられないかもしれません。
でも、あきらめずにそうしていると、凍った水が融けるように、徐々に感じられるようになってきます。
自分の感覚を尊重して行動する
その際、なるべく自分の感覚にしたがって行動することをお勧めします。
それによって、自分の感覚を尊重していることを自分で確認することになるからです。
自分の内側から生まれる感覚を尊重することは、自分自身を尊重することにつながります。
そうすると、自由に感情や感覚を感じていいんだと自分に許可が出せて、どんどん感覚が開いて生きます。
もちろん、大人ですから、感じたとおりに行動できないこともあります。
それを無理にやる必要はありません。
そういう時は、感覚そのものを抑え込むのではなく、感覚は認めた上で、でも理由があって違う行動をとることをちゃんと意識しましょう。
自分は今の仕事に行きたくない、でも、すぐに辞めてしまっては経済的に困ってしまう、だから、嫌なことだけれど、今は仕事に行くことを選択しよう、という具合です。
感覚を抑えて義務感で行動するのと、感覚を感じつつ状況を判断して主体的に選択するのでは雲泥の差があります。
この場合であれば、中長期的には自分の感覚にしたがって無理のない計画で感覚にしたがった仕事にシフトするのが現実的です。
肯定ベースでできたことに目を向ける
実践する際、すごく大切なことがあります。
それは、できなかったことではなく、できたことに目を向けることです。
否定ベース、ダメ出しの基本方針では、これまでと何ら変わらなくなってしまいます。
言ってみれば、幼少の頃から、育ち直すわけなので、最初からすべてうまくいく方が不自然というもの。
- 全部うまくいかなくても、部分的にできたこと。
- 自分の言動で、人が笑顔になったり感謝されたこと。
- まずは長年続いたパターンを打ち破れた。
- 結果が思わしくなくても、まずは自分の思いを尊重できた。
- 次の機会への改善点が見つかった。
などなど、見方次第でどんな行動も肯定ベースで捉えることができます。
それによって自分に対する信頼感が増し、肯定感が積み上がっていきます。
4.まとめ
今回は「自分らしく生きる」をテーマに説明しました。
自分らしく生きることは、多くの人が思うよりたいへんなことかもしれません。
でも、その価値は十分にあると思います。
自分の人生を取り戻すことであり、そうなってしまえば、余計な力がいらず、楽に自然に毎日の活力と感謝が湧いてくるそんな生き方です。ぜひ実践してみてください。
最後に、今まであなたは、周りの人や自分を幸せにしようと、必死に頑張ってきました。ですから、今の自分に対しても否定することなく、今までご苦労さまと感謝の念を送ってあげてほしいと思います。
以上
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