悟りの窓

魂とつながる日本固有の自己成長の道

人生が思うようにならないのは潜在意識の理解不足が原因

約12分
人生が思うようにならないのは潜在意識の理解不足が原因

相変わらず潜在意識ブームが続いていますね。これによってうまくいくようになった人も多いのではないでしょうか。

しかし、人生が思うようにならず、相変わらず悩んでいる人も存在します。潜在意識の活用を阻む潜在意識の理解不足とは、そして、たとえうまくいったとしても、気をつけるべき落とし穴についてまとめました。

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1.潜在意識ブームが続く意外な理由

2006年角川書店よりロンダ・バーン著「ザ・シークレット」の初版が発行され、そこで語られた「引き寄せの法則」がブームになりました。

思考を始め内的なバイブレーションが現実になるという類の考え方は、古くはナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」をはじめとして、自己啓発の世界では馴染みのある考え方です。

それが大手書店から発行されることで、多くの日本人がこの考え方を知るきっかけとなりました。

この時は、なんとなくですが、一般世間では、家や車といった欲しいものが手に入るというように物にフォーカスが当たっていたような気がします。

割とライトな願い事の実現ツール的な捉え方でしょう。

思考するだけで願いが手に入るならそれはいいと、軽い気持ちでちょっとやってみるという人が多くいました。

けれど、ほとんどの人はうまくいかず、やっぱりそんな都合のいい話はないよねとなんとなくブームは下火になっていきました。

 

しかし、少ないながらうまくいく人もいて、うまくいかない理由やどうすればうまくいくのかを解説した本が出版されました。

ポイントは、表面の意識で思考するだけでは不十分で、いかに潜在意識に実現したいことを浸透させるかということでした。

2014年には「引き寄せの教科書」が出版され、第二次引き寄せブームと呼ばれました。その後も、続々と類書が発行され今日に至ります。

そして、今も引き続き「引き寄せの法則」、その鍵となる潜在意識は人気があります。

その理由を考えてみたとき、12年前とはかなり世相が変化しているのを感じます。

働く人のおよそ4割と言われるほどに非正規雇用が増え、かといって正社員であっても格別豊かでもありません。

むしろ、経済的理由から結婚に二の足を踏み、結婚したくてもできない、結婚しても子供は一人という状況が生まれています。

懸念されていた少子高齢化に改善の兆しが見えず、世の中全体の閉塞感はますます強まっているように感じます。

昔であれば、「とにかく頑張ればなんとかなる」という精神で実際人並みに恵まれた人生が送れました。

しかし、今はもう無理です。それは当事者にとっても深刻な問題であることはもちろん、周囲にとっても先行きの不安を掻き立てます。

社会全体が貧しくなれば、年金などの社会制度の破綻、あるところから取る発想で税負担の増加、社会に蔓延する空気感など、有形無形で影響を受けるからです。

このように現実的な解決策が見えないからこそ、「自分の思い(潜在意識)が現実を創る」という法則がより魅力を増している面があるのでしょう。

2.潜在意識を操ろうとすることに潜むリスク

しかし、望む現実を引き寄せるために潜在意識を操ることに、リスクがないわけではありません。

多くの人は、顕在意識と潜在意識が一致していません。なかなか思うようにならない現実が示すとおりです。

その状態から、潜在意識を顕在意識の側に寄せようというのが、「引き寄せの法則」がやろうとしていることです。

つまり、顕在意識=自分が願うこと、潜在意識=目の前の現実であって、顕在意識は現実が気に入りません。

だから、潜在意識を自分が望むことと一致するように変えようというのです。

潜在意識を顕在意識が望んでいる状態に変えれば、現実も顕在意識が望んでいるように変わる、というわけです。

一見理にかなった考え方ですが、実はこの考え方には落とし穴があります。

 

それを明らかにするために、一つの質問があります。

「顕在意識と潜在意識はどちらが主体でしょうか?」

顕在意識は饒舌です。あーしたい、こうしたい、あれが不満、これはいいなど、多くの人は顕在意識のおしゃべりで頭の中がいっぱいなほど、激しく主張します。

一方、潜在意識は寡黙です。潜在意識としての意思表示なんてないに等しく、かなり気をつけていないと見逃してしまうでしょう。(本当は目の前の現実がそうなのですが、そう思って見ないので気づかないことが多い)

引き寄せの教えでは、潜在意識は善悪を判断しないとか、オーダーされたとおりのものを実現するとか、否定形を理解しないとか、さまざまなことが言われています。

これではまるで命令を忠実に実行するだけで、しかも融通がきかないできの悪いロボットかなにかのようです。

本当に潜在意識には何の意志もない、顕在意識の小間使いのような存在なのでしょうか。

その疑問に答えるためには、潜在意識についてもっとよく理解する必要があります。

3.潜在意識という意識があるわけではない

多くの人がしている潜在意識に関する最も大きな誤解は、顕在意識と潜在意識という2種類の意識があるわけではないことです。

潜在意識が意味するところは、顕在意識で知覚できない部分(領域、エリア)ということです。

暗闇を照らす光にたとえれば、光の届く領域は知覚でき、届かない領域は知覚できません。それぞれを顕在意識、潜在意識と呼んでいるということです。

ここまではなんとなく感じていたという人もいるかもしれません。

重要なのはその先です。

 

それは、潜在意識は一枚岩ではない、ということです。

顕在意識も潜在意識も、心の一部であることはまちがいありません。

心というと、いろんな側面がありながら、なんとなく一つのものというイメージがあります。

しかし、実際には、心は様々な要素から構成されています。

心は物質ではありません。心はエネルギーです。

そして、構成要素ごとに役割やエネルギーの性質が異なります。

しかも、全くといっていいほど、性質が異なります。

ということは、十把一絡げに一緒くたにはできないのですが、そうしてしまうことで多くの混乱が生まれ、様々なことがうまくいかないのです。

4.潜在意識を構成する4つの要素

潜在意識を構成する主な要素として、固定観念(思い込み)、感情、トラウマ、魂の4つがあります。

前の2つは顕在意識の領域と潜在意識の領域に跨って存在しています。

一つ目の固定観念は思い込みや信じていることなので、顕在意識的に自覚していることも多いです。

「男とはこうあるべき」とか「親切にするのはよいこと」、「自分は頭が悪い」など、自分や世界に関するありとあらゆる決まり事や価値観です。

こういうと全部顕在意識なのでは?と思うかもしれません。

もうしそうなら、思いがけない現実は起きないでしょう。

実際は、無意識で思い込んでいることはものすごく多く、それらは潜在意識の領域にあります。

たとえば、「自分はダメなやつだ」というマイナスの信念が潜在意識にあると、成功を目指してどんなに努力してもうまくいかない現実がやってきます。

周りから見ると、能力もあるし十分な努力もしているのになぜかうまくいかない人に映ります。

 

2番目の感情は、浅い部分で起きたものや激しいものは知覚しやすいでしょう。

しかし、心の深い部分で起きた反応や繊細な感情を知覚できるには、ある程度の鍛錬が必要です。

すなわち、自分の心を見つめることに慣れていて、頭の中のおしゃべりが騒がしくないことが要件となります。

 

3、4番目は潜在意識の領域にのみ存在します。

3番目のトラウマは、バーストラウマとインナーチャイルドと呼んでいるものです。

生まれる前後に受ける痛みと苦しみは非常に大きなもので、生きることへの否定感を生み出し続けます。

幼少時の満たされなかった欲求や傷ついた体験は、愛されていないという思いを生み出します。

同じような状況に遭遇した際、非常に大きな怒りや悲しみ、恐れなどのネガティブな感情を生み出し、感情に引きずられて冷静さを欠いた言動に駆り立てられます。

個人差が非常に大きいのも特徴です。トラウマが大きい人の手記を読んだことがあります。

何かを引き金に、壁や天井がぐにゃりと曲がり、床が波打って立っていられず、部屋の影が暗闇となって自分を飲み込むという描写がありました。

自分の心を何が飛び出すかわからない恐ろしいブラックホールのように捉えていたのが印象的でした。

 

そして、最後は魂です。

本質的自己とも呼ばれ、自分の本体と言ってもよいでしょう。

ここで先ほどの質問を思い出して欲しいのですが、覚えているでしょうか。

「顕在意識と潜在意識はどちらが主体でしょうか?」でした。

ここまでくれば、答えは明白ですね。

5.自分という人間の主体は潜在意識

人間の本質は魂。

魂は、今生のブループリント(青写真)と呼ばれるように、生まれてきた目的に関係します。

であれば、魂こそが存在する潜在意識領域が人間の主体です。

ただし、トラウマの影響は極力取り除く必要があります。妨害電波のように、魂からの呼びかけを掻き消してしまうからです。

このように留意点はあるものの、どちらがという点では議論の余地はありません。

人が生きるのは魂の目的を果たすためです。

魂の目的とは、より純度を上げ、より覚醒し、より愛に近づくことです。

 

それがないがしろになるなら、この世的に、どんなに思いそりの人生であったとしても、どんな成功を収めようとも、大した意味はありません。

ところで、成熟した魂を持つ人は、なんとなく薄々そのことを感じ取っています。

あなたが、お金儲けや世間でもてはやされるような成功に興味が持てないとしたら、物理次元の結果には意味がないことを知っているからかもしれません。

といっても、自分で感じることがすべてなので、そのことに確信が持てるわけもないでしょう。

その上、否応なく周りや社会にある多数派の価値観に晒され続けるわけで、どうしても悶々とすることがあるかもしれません。

そんなときは、そんなこともあるかもぐらいに落ち着けて、自分を受け入れ、認めることが大切です。

6.顕在意識主体で生きる弊害

前項で見たように、人間の主体はあくまで魂です。自分と思っている自分は、本質的には幻です。

これをノンデュアリティでは、「自分はいない」と表現しています。

ですが、魂は実在するものですから、魂主体で生きない限り、実りのある人生にはなり得ません。

最近は、「人はこの世界を楽しむために生まれてきた」という主張をよく耳にします。

楽しむこと自体はいいと思います。でも、目的じゃありません。

 

本当のところ、魂の成長という目的のために、楽しんでも楽しまなくても、もっと言えば苦しんでも、どれでもいいのです。

昔、悟りを目指すために多くの宗教家が苦しい修行をしました。

悟りを目指すとは魂の成長と同じことです。

生きることに精一杯の当時の世の中では、楽しんで成長することは容易ではなく、最大限の魂の成長を目指すなら、畢竟苦しんで成長するより道はなかったのです。

ですが、今は違います。

文明が進み、食べるために多くの労働を必要としなくなった現代では、楽しんでいても魂の成長は可能です。

どっちでもいいなら、顕在意識もウェルカムな方が速く進めるので、私も断然楽しんで成長する派です。

けれど、楽しむことを優先すると足元をすくわれる可能性があります。

それは顕在意識と魂の不一致です。

顕在意識で自分のやりたいことが魂の目的に反すると、楽しいだけの人生で終わってしまう可能性があります。

きちんと魂に意識を向けていれば、自分らしい楽しさを追求する過程で、深い部分からのメッセージをキャッチして、不一致は解消するかもしれません。

ですが、不協和であるトラウマの影響が一定以上大きかったりすると、そのズレが解消できないままである可能性もあるのです。

7.魂主体で生きるには

生きる目的をより達成するためには、魂主体の生き方が求められます。

魂は心の深い部分にあるので、そのために心がけることがあります。

まずは、自分の本質は魂であると知ることです。

自分の心の奥に魂が存在していていると知り、コンタクトを取ろうと意識を向けるだけで、明らかにつながりやすくなります。

次に、つながりを邪魔するものをクリアにすることです。

邪魔するものとは、感情の滞りや激しい揺れ、トラウマ、慣れ親しんだ思い込みなどです。

これらを性質に応じて適切に取り扱い、クリアにしていく必要があります。

 

ところで、なぜ潜在意識は潜在するのでしょうか?

なんだか禅問答ですが、答えは簡単、見たくないからです。

なぜ見たくないか、心が痛むからです。

そうやって、目をそらすことで現状を維持しようとします。

現状維持とはつまり成長できないことです。

「陰陽はバランスする」というとおり、マイナスの裏にはプラスがあります。

心が痛む苦しみにきちんと向き合い、学ぶことができれば、自分を成長させることができます。

たとえば、「他人のことに口出ししない」という思い込みを処世術にして自分を守っている人がいたとします。

助けたい気持ちがあっても蓋をして自分の殻に閉じこもっていては、成長は望めないでしょう。

自分と一体化していればいるほど、その思い込みを捨てるには痛みや不快が伴います。

ですが、そうすることで、新たな人間関係のドラマで自分を成長させることができるのです。

そうやって、ブラインドになっているものを明らかにし、自分のこころをクリアにしていくことでも、魂とのつながりが強くなるのです。

8.まとめ

潜在意識と上手に付き合い、自分らしく楽しい人生を送ることについて、何も反対する理由がありません。

けれど、自分と思っている自分が全てであるという考えは明らかにあやまりですし、そんな自分の思いどおりにしたいという考え傲慢です。

その傲慢さが人間の存続を脅かすまでに至ったのが今日の世界の姿です。

魂の成長のために、潜在意識について正しく学び、適切に取り扱って、より実りのある人生を歩みたいものです。

以上

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この記事を書いた人

祇場 駿矢(しば しゅんや)
幼い頃から「人は何のために生きるのか」「人はどこからきてどこへ行くのか」「ここは自分がいる場所ではない」などと考える子供だった。

ところが、昭和の成功の常識に染まり、京大法学部からメガバンクに。バブル崩壊からITバブル、リーマンショックなど日本経済の栄枯盛衰を経験。

忙しい毎日を送りつつも、目に見えるモノ(物質、金銭、地位、肩書き)では、決して心が満たされることはないことに気づく。

世間的なうたかたの価値に見切りをつけ、人間が生きることの本質的価値を探究して2014年に銀行を退職、起業する。

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